『にんにく物語 その4』 畑 正憲

ガロハ~!!

こんにちは。ガーリックのプロフェッショナル、ガリプロです!!

弊社代表光本とかねてより親交のあるムツゴロウさんこと畑正憲先生に、「にんにく物語」と題して、にんにくのコラムを書いていただきました。

これまで世界中を旅してこられた先生のユーモアたっぷりのお話しをブログでもご紹介していきたいと思います。

ニンニクという植物には、分類学上から調べると、実に多くの仲間があり、いずれも食用に供されている。

まずは、ネギ。これには種類が多く、太いものから細いものまでさまざまだ。今や世界中で通用するようになった〝スキヤキ〟には、ざく切りにしたネギが欠かせない。

納豆。それからざるそばのつゆ。細かく切ったネギがつきものだ。

それからタマネギ。包丁を入れたとたん、プーンという刺激臭が鼻をつく。極端な場合には、涙がにじんだりする。

ところが南の国のタマネギには、これがない。だから乱暴に切ってサラダにする。

スリランカに住んでいる日本人にあったことがある。その奥さんがこう言った。

「子供が小学校に上がったので、夏休みに、日本へ連れて行ったのです。実家に帰って十日も暮らしていたら、泣き出しました。ご飯がおいしくない。スリランカのタマネギが食べたいと泣きじゃくるのです」

日本のものは、生で食べる際には水にさらす。ところが、子供は、それでは味が薄いと言うのだそうだ。さらすことにより、子供が慣れ親しんでいる〝水溶性〟のおいしさの成分がなくなったからだろう。

私は、軽いショックを受けた。自分たちが食物に対して持っている感覚。おいしいと感じ、まずいと顔をしかめる。その感覚が、いかに独りよがりのものかと、頬を引っぱたかれた感じがした。

ニンニクのにおいでさえ、くさいと言う女性が増えている。くさやの干物などを焼こうものなら、「何よ、このにおい」と鼻をつまんで外へ逃げだしてしまう。

人類は昔から、食べるものに工夫をこらし、醗酵させたり、くん煙したりして、変質させて食べてきた。早い話、みそやしょう油にしたってそうだ。

リーキやエシャロットもにんにくの仲間だ。まだある。ニラがあり、ワケギがある。アサツキだって、ラッキョウだって、同じ仲間である。

こうして並べてみると、特有のにおいや辛みなどが、いわゆる〝薬味〟として役立てられている。私はサルバドール氏にリゾットの作り方を教わったが、氏は、まずニンニクを薄く切り、オリーブ油でいためた。そして、さっとすくい上げ、オリーブ油にかおりをつけるだけでいいのよと言ったものだ。