『にんにく物語 その3』 畑 正憲

ガロハ~!!

こんにちは。ガーリックのプロフェッショナル、ガリプロです!!

弊社代表光本とかねてより親交のあるムツゴロウさんこと畑正憲先生に、「にんにく物語」と題して、にんにくのコラムを書いていただきました。

これまで世界中を旅してこられた先生のユーモアたっぷりのお話しをブログでもご紹介していきたいと思います。

ニンニクには、特有の匂いがある。

人によっては、これを悪臭だと言い、嫌ったりするが、私はあまり気にならない。

それどころか、品種改良をして匂いを消した無臭ニンニクと、ふつうのニンニクを並べて売っていたりすると、昔ながらの方を選んでしまう。匂いがないニンニクなんて、気の抜けたビールみたいなものだ。

韓国の人たちは、ニンニクをたくさん食べる。だから、匂う。飛行機に乗ったら、足を踏み入れたとたん、プーンときた。タクシーに乗ったら、ドカンときた。レストランに寄ったら、ドドドと押し寄せてきた。

私がやとったガイドは、食事の度に、皿に盛った生のニンニクを特別注文し、ガリガリと音をたてて噛み砕いた。

スペイン北東部の山岳地帯に、牧羊犬を求めて迷いこんだことがある。ペロ・デ・パストール・カタランという古いタイプの犬を捜してのことだった。

木は少なく、ごつごつした岩が重なり合っていた。スイスとはまったく違い、どちらかと言えば、トルコ東部の山中の風景に似ていた。

犬に会えた。牧童にも。

話をしている内に気に入られ、昼メシを食べて行けと言う。おれの羊はうまいぞ、丁度昨日しめたばかりの肉がある、と。

牧童は、肉を焼き始めた。そして、お、そうだ、そこの草を採ってくれと言った。彼が指さす所。岩の根もと。そこには、フェンネルが自生していた。

そうか、と雷にうたれた思いがした。羊の放牧地。羊は、かおり高い草が嫌いなんだ。

私は、自分の馬の牧草地を思い出した。北海道ではアイヌネギと呼ぶが、ギョウジャニンニクを馬たちは食べ残す。だから、自生している所には、そっくり生えている。

人類がニンニクを発見し、食べるようになったのは、家畜を飼い始めたことに深く関係しているのだろうと思った。